ストックフォト用語の解説~カラープロファイルと画像サイズ~
スポンサーリンク
前回に引き続きストックフォトでよく見かける用語について解説します。
今回は画像の色やサイズに関する用語です。
前回見本として引用させてもらったAdobe stockの画像要件はこんな感じでした。
- 画像を JPEG 形式で提出します。
- sRGB カラースペースを使用
- 画像の最小解像度:4 メガピクセル
- 画像の最大解像度:100 メガピクセル
- 最大ファイルサイズ:45 MB(メガバイト)
- 透かしやタイムスタンプがない
- ファイルをアップサンプルせず、カメラで撮影できる最大サイズのファイルを提出してください。
引用元:Adobe stockコントリビューターマニュアル『写真とイラストの要件』-技術的要件-(2021.6.28参照)
URL:https://helpx.adobe.com/jp/stock/contributor/help/photography-illustrations.html
アップロード要件に関する用語
画像の色関係
画像の色なんて赤は赤、青は青、それは当たり前のことでしょ?って思いますが、実はそうでもないんです。
そもそも、デジタルの世界ではR(赤)、G(緑)、B(青)の3色(光の三原色)を使って色を表現しています。
それぞれどのぐらいの強さの光を混ぜているかは0~255の256段階で表現されています。例えば純粋な真っ赤だとR:255、G:0、B:0、真っ白だとR:255、G:255、B:255と表現されます。
ところが同じ数字で指定していても表示するモニターによって色味が異なる場合があります。
家電量販店でテレビがずらっと並んでるところを思い出してほしいんですが、同じ映像を流しているのに、やたらと鮮やかに見える画面もあればちょっと暗っぽく見える画面がありますよね?あんなイメージで同じ画像のはずなのにモニターを通すと違って見えてしまうんです。
せっかく綺麗に色調整までした写真が、別のモニターで見たらびっくりするぐらい違う色で映し出されたら困りますよね。
しかも色を扱うのはモニターだけではありません。カメラや編集ソフト、プリンターなどいろいろなハードやソフトが色を扱っているのでそれぞれがバラバラな色を表示してしまうと収拾がつきません。
そこで、必要になるのがカラープロファイルなんです。
カラープロファイル
カラープロファイルとは「この画像はこんな色空間(カラースペース)で作られましたよ」という自己紹介みたいなものであり、色を表示させるときの基準みたいなものです。
Adobe stockの要件だとsRGBカラースペースの部分にあたります。
「私は○○地方で育ちました。だから○○地方のルールで生活してます」みたいな感じですかね。
このカラープロファイルを画像データに埋め込むことで、カメラやモニターなど違うデバイスで表示してもある程度統一された色に近づけることが可能になります。
「○○地方で育ったのね、それならそのルールで調整しましょうね」って感じで、100%完全一致とはいきませんが、ある程度統一された表示になります。
統一するなら100%じゃないの?って思いますが、残念ながら100%にはならないらしいです。
なんでもすごく明るいモニターと暗めのモニターだと光の強さが違うから色味も違って見えるし、古いモニターは全体的に色が黄ばんでしまうので100%同じにはならないんですって。
そんなカラープロファイル、画像形式と一緒で1つではないんです。
sRGB
sRGBは国際的な標準色空間です。国際的な標準なので多くのモニターやデジカメ、プリンターなど多くのデバイスで採用されています。基本的にはsRGBを選んでおけば間違いはないです。
ストックフォトでもカラープロファイルはsRGB指定のところがたくさんあります。
Adobe RGB
Adobe RGBは名前からお察しの通りAdobeが提唱したカラープロファイルです。sRGBよりも色空間が広いのでよりきめ細かな色彩表現が可能。印刷業界などで多く使われているようです。
ただし、必ずしも利用するソフトやモニターなどがAdobe RGBに対応しているとは限りません。むしろAdobe RGB非対応と言うものもたくさんあります。
Adobeが提唱したカラープロファイルがあるにも関わらず、Adobe stockの要件がsRGBになっていることからも、非対応のものが多いってことなんでしょうね。
CMYK
CMYKは前2つとは違い印刷することを前提としたカラープロファイルです。
そのため印刷会社にデータを入稿する場合はCMYKのカラープロファイルを埋め込むことがめちゃくちゃ多くなります。
モニターなどの場合は光で色を表現するので光の三原色(RGB)でしたが、印刷する場合はインクで色を表現するので色の三原色を利用します。
色の三原色はC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、そしてK(黒)を使います。
三原色なのでC、M、Yだけで良さそうなんですが、実際にはこの3色を同量ずつ混ぜても黒にはなってくれません。そこで黒を追加しているんです。
Kだけなんで日本語の頭文字?って思いますよね?これ、KUROではなく、Key plate(キープレート)のKです。たまたまキープレートが黒なのでちょっと勘違いしちゃいますよね。
画像のサイズ関係
画像のサイズなんて縦×横のことじゃないの?って思いますよね。
正解です!ただし、データの場合はちょっと見慣れない単位で表現されます。それがpx。
px(ピクセル)
画像データはとても小さな正方形の集まりで表現されています。1マス1色になっていてそのマスを並べていくことで大きな画像が作られています。モザイク画みたいなイメージですね。そのマスの単位がpxです。画素とも言います。
画像サイズ
その画像に何pxあるかのことです。
例えば4000px×6000pxだと縦に4000px、横に6000px並んでますよってことですね。
また、計算結果の24,000,000を2400万画素とも呼びます。
そうです、カメラの画素数ってこの数字のことなんです。
ストックフォトの場合はこの画像サイズによってS、M、L、XLなどのサイズに分けて販売されることがあります。
しかもPIXTAやイメージマートなんかは単品でダウンロードする場合はサイズによって価格が変わるのでどのサイズでダウンロードされるかによって報酬額も変わってきます。
解像度
画像の密度を表現したものです。
実はpxってあくまでも「1マス」というだけで1px=○cmみたいな具体的なサイズの概念がありません。
そのままでは印刷するときに困るので、1インチ(2.54cm)の中に何px詰め込むかを表すのですが、それが解像度です。
単位は「dpi」で表現されます。例えば300dpiだと1インチの中に300px詰め込んでますよってことになります。72dpiだと1インチの中に72px詰め込みましたってことですね。
つまりdpiが大きい、pxがたくさん詰め込まれている方がより細かく表現できることになります。
印刷サイズの目安として4000px×6000pxの画像と430px×640pxの画像をそれぞれ300dpiで印刷する場合は、
4000÷300×2.54=約34cm、6000÷300×2.54=約51cm
430÷300×2.54=約4cm、640÷300×2.54=約5cm
だいたいこのぐらいの大きさまで印刷できることになります。つまり同じ解像度であれば画像サイズが大きい方が大きく印刷できることになります。
画像サイズのところでストックフォトはサイズを分けて販売されると書きましたが、その理由には解像度も関係しています。
と言うのも、大きいものを小さく印刷することは可能ですが小さいものを大きく印刷すると印刷結果が粗くなってしまうため。
ストックフォトの写真はチラシやポスターなど印刷して利用されることも多いため、ストックフォトサイトとしてはきれいに印刷できる画質を保証したい。だからこそ、利用目的に合わせて使えるようにサイズを分けて販売されるんです。
XLサイズの画像はS、M、Lサイズでも同時販売されますがSサイズの画像はSサイズでしか販売できません。Sサイズの画像をA4などに印刷すると印刷結果がとても粗くなってしまいますからね。
画面解像度
ところで、Adobe stockの要件に最小解像度と最大解像度があるんですが、ここが意図する「解像度」は「画面解像度」のことかと。
画面解像度は文字通り「画面」の「解像度」、つまりモニターなどに使われる解像度です。
ここでとても厄介なことが発生します。
それは「画面解像度」とさっき見ていた「解像度(dpi)」は別物なんです。ややこしいですよね。私もわけわからん…ってなりました。
そもそも「画面解像度」って言葉が悪いんですよ。だって、画面解像度って画面の中に何pxあるかってことを指しているんです。
そう、画面解像度は画像サイズと同じこと言ってるんですよ。あぁややこしい。
今後、ストックフォトの提出要件で画面解像度って出てきたら画像サイズのことだと思って下さいね。
ファイルサイズ
ファイルサイズはデータの容量、重さのことです。
プロパティにも「サイズ」として表示されています。
KB(キロバイト)とかMB(メガバイト)とか〇〇バイトで表示されますが、バイトの部分は省略して呼ばれることの方が多いかもしれません。某モバイルさんでも「1GB(ギガバイト)まで0円」ってCMしてますよね。
ちなみにファイルサイズの大きさは画像サイズに比例するとは限りません。大きさももちろん関係しますが、使われている色の量なども大きく関係してきます。
保存するときに圧縮率を高くすればそれだけ容量は軽くできますが、やりすぎると画像が荒れてしまうので注意が必要です。
長くなってきたので今回はここまで。
JPEGなどを説明した前回の記事はこちら↓